障害者スポーツボランティアとは

2025.12.11公開
人手不足の解消だけでなく、資格や特技を持つ人材を募集する手段としても有効だと思います
杉並区スポーツ振興課
齋藤 尚美さん、森谷 陸人さん、佐藤 潤弥さん

 「ボランティアを募集している」または「これから募集したい」団体の方に向けて、ボランティアのご協力を得て事業を運営している団体の活動内容やボランティアを受け入れる際のポイントなどをお伝えします。

 今回お話を伺ったのは、杉並区区民生活部スポーツ振興課の齋藤 尚美(さいとう なおみ)さん、森谷 陸人(もりや りくと)さん、佐藤 潤弥(さとう じゅんや)さんです。「わいわいスポーツ教室(重度心身障害者スポーツ教室)」「ユニバーサルタイム」「交流自治体中学生親善野球大会」をはじめ、杉並区主催の様々なスポーツイベントの企画・運営を担当されているお三方に、TOKYO 障スポ&サポートに登録してボランティアを募集した理由や、活用した際の感想などをお聞きしました。

TOKYO 障スポ&サポート(以下「S&S」)でボランティアを募集したきっかけを教えてください。

 2022年に新しく立ち上げた、障害のある人を対象とした事業「ユニバーサルタイム」がきっかけです。事業開始に際してご協力いただいていた東京都障害者スポーツ協会の方に、パラスポーツ指導員の資格を持ったボランティアを募集する仕組みとしてS&Sをご紹介いただき、メリットや具体的な手順などを詳しく教えていただきました。実際に登録して募集すると、資格条件付きにもかかわらず、予想以上に多くの応募があり、とても驚きました。

「ユニバーサルタイム」以前のスポーツイベントでもボランティアを募集していましたか?

 はい、以前からボランティア募集は行っていました。ただ、周知方法は区の広報誌や口コミに限られていたため、思うように集まらないこともありました。その経験があったので、S&Sの影響力の大きさには驚きましたし、とてもありがたく感じています。

資格や特技を活かしたボランティアもS&Sで募集していますか?

 はい、看護師や手話ができる人などを募集しています。

 看護師については、すべてのイベントで必要ですが、現在S&Sをとおして募集しているのは「ユニバーサルタイム」だけです。条件として、障害のある人の対応経験があることを求めていますが、しっかりと応募があります。

 一方、手話ができる人は、「交流自治体中学生親善野球大会」で東京都立中央ろう学校の生徒さんが参加されるため、コミュニケーションのサポート役として募集しています。手話通訳者ほど専門的でなく、「野球のルールが分かり、日常会話レベルの手話ができる方」という条件でしたが、こちらもしっかりと応募がありました。

ボランティアの皆さんにはどのようなサポートをお願いしていますか?

 イベントによって異なります。会場設営からお願いする場合もあれば、設営後から活動いただくこともあります。「ユニバーサルタイム」では、会場設営に加え、参加者とコミュニケーションをとりながら一緒にスポーツを楽しんでいただくことが主な活動です。また、看護師には、怪我や体調不良への応急対応をお願いしています。「交流自治体中学生親善野球大会」では、選手選考会や練習会において、手話でコミュニケーションのサポートをお願いしています。

ボランティアの中にはリピートされる方も多いのでしょうか?

 そうですね。「ユニバーサルタイム」は、S&S等で申込みのあったパラスポーツ指導員の資格をお持ちの方、事前に区のサポーター養成講座を受講した方に向けて、開催日程を定期的にメールでお知らせしています。募集の度に申し込まれる方が多くいらっしゃいます。年間20~30回と開催数が多いこともリピートしやすい理由の一つだと思います。

 新規の方の応募も多く、ありがたいことにS&Sを活用するとたくさんの反応をいただけるので、とても助かっています。

ボランティアの皆さんの現場でのご様子はいかがですか?

 皆さん、楽しく活動されています。障害者スポーツに興味がある人やボランティアが好きな人など、様々な人が参加しています。特にベテランの方は、障害のある人と上手にコミュニケーションをとって、自発的に場を盛り上げてくださるので、とても助かっています。

S&Sを利用してボランティアを募集した感想を教えてください。

 パラスポーツ指導員、看護師、手話ができる人など、その事業の特性に合わせて必要な人材を募集できるのがS&Sの大きな魅力だと思います。本当に様々な資格や経験をお持ちの方が登録されているので、「応募が少ないのでは?」と思うような条件でも応募をいただいています。また、募集から決定までの期間が最短1~2週間と非常にスピーディーなのもありがたいポイントです。なかなかボランティアが見つからないときなどにも頼れるツールとしても優れていると感じます。

 さらに、広範囲に周知できる点も素晴らしいと思います。広報誌や口コミだけだと区内のネットワークで留まりがちですが、S&Sをとおせば遠方の方にも活動いただくことができます。これはとても画期的なことだと思います。

S&Sを使ってみて感じたことがあればお聞かせください。

 ボランティアコーディネーターの方には、登録手続きの段階から丁寧にサポートしていただきました。登録後も細かい相談に乗っていただいているので、今のところ不便に感じたことはありません。おそらく、各団体の担当者の中には、パソコン作業やネットに不慣れな方もいらっしゃると思いますが、そういった部分もしっかりサポートしてくださるので安心して利用できると思います。

S&Sを利用してボランティアを募集してみたいという団体の皆さんに対してメッセージをお願いします。

 かつての私たちのようにボランティア集めに苦労されている団体も多いと思います。S&Sを利用すれば、その悩みが解決できるはずですので、ぜひ試してみてください。ボランティアスタッフだけでなく、「手話ができる人」など条件付きの人材募集にも有効だと思います。無料で利用できる気軽さと、「S&Sがある」という安心感はとても大きいです。

 登録段階からボランティアコーディネーターの方が丁寧にサポートしてくださるので、気軽にご利用いただけると思います。

【インタビューを終えて】

 お三方の中で最も長くスポーツ振興課の事業に携わっている齋藤さんは、ボランティア集めに苦労した時代を経験しているだけに、S&Sのメリットについて、より熱く語っていたのが印象的でした。特に、「意欲的な人」や「特定の資格や特技を持った人」といった多様な人材を、費用や労力をかけずに集めることができ、イベント運営の幅が広がる点を大きな魅力として挙げていました。

 障害者スポーツを今後より一層盛り上げていくためにも、ぜひ今回のインタビューを参考に、S&Sを通じてボランティアの力を活用してみてはいかがでしょうか。