障害者スポーツボランティアとは

2024.02.20公開
様々な世代の人と交流を深めることができる。それがボランティアの魅力です
力武真叶さん

 ボランティア活動にご興味のある方に向けて、実際の活動の事例を交えながらボランティア活動の魅力をお伝えします。

 今回お話を伺ったのは、中央大学の1年生で、学内の生協団体でも活動する力武真叶(りきたけ まなと)さん。今回は、高校時代から様々なボランティアに参加してきたという力武さんに、学生の視点で障害者スポーツボランティアの魅力を語っていただきました。

ボランティアを始めたきっかけを教えてください。

 高校2年生の時に参加した森林伐採のお手伝いが初めてのボランティアでした。正直に言うと、内申点を上げて大学の指定校推薦枠を得ることが目的だったので、純粋な動機とは言いがたいのですが、やってみるといろいろな人と交流を深められたことが嬉しくて、ボランティアの魅力にすっかり夢中になりました。それ以降は内申点など関係なく、自主的に色々なボランティアへ参加しています。

様々なボランティアに参加する中、どのように障害者スポーツに関わったのですか?

 大学に入学した後は学校で募集しているボランティアに色々参加していて、その一環で2023年9月に行われた「青梅市障がい者と家族のスポーツ大会」に「TOKYO障スポ&サポート」を通してエントリーしたんです。それが障害者スポーツに触れた初めての経験でした。以前に聴覚障害のある方たちと交流するイベントに参加したことはあったのですが、「障害者スポーツ」の分野は初めてで、聴覚以外の障害をお持ちの方も参加されるということで、少し緊張していました。

青梅市障がい者と家族のスポーツ大会の様子
実際に障害者スポーツに触れてみて、ご自身の中のイメージは変わりましたか?

 はい。障害のある人は、障害のない人と何ら変わりなくスポーツを楽しんでいることが分かりました。参加前は私たちボランティアが色々とサポートするのかなと考えていたのですが、障害者スポーツでは障害のある人もない人も対等に勝負できますし、私のように障害者スポーツが初めての人間でも自然に溶け込んで、コミュニケーションをとれることが分かりました。また、私のようにスポーツが苦手な人間でも気兼ねなく参加できるところも障害者スポーツの大きな魅力だと思っています。スポーツにおける要素の一つとして、勝ち負けにこだわることもありますが、障害者スポーツでは、体を動かすことを純粋に楽しめることが分かりました。

「青梅市障がい者と家族のスポーツ大会」において、障害のある人との交流で意識したことはありますか?

 とにかく自然体で接することを心掛けました。特に、知的障害のある人には自然に接してほしいというアドバイスを事前にいただいていたので、障害のない人を相手にした時と同じトーンで話しかけていました。また、参加者の皆さんが心から楽しんでいることが伝わってきたので、その気持ちをさらに盛り上げられるように、試合中は常に声援を送りました。現在、大学で受講している障害に関する授業では、障害当事者の話を聞く機会がありますので、これからもっと障害のある人への理解を深めたいと思っています。

今後参加してみたいボランティアはありますか?

 私は地域の活性化にとても興味があるので、地域密着型のイベントに参加していきたいです。障害者スポーツはもちろん、それ以外のイベントにも積極的に関わっていきたいですね。それらの活動を通して、障害のある人とない人、年齢の近い人と離れている人、色々な人との交流の輪を広げていきたいです。

現在はどのくらいの頻度でボランティアに参加されていますか?

 平均すると月1回になります。今の生活の中心は、大学の授業と、大学内のイベントを企画・運営する団体の活動、そしてアルバイトなのですが、それ以外の空き時間を使ってボランティアに参加しています。2年生になったら大学のボランティアセンターに所属して、より深くボランティアに関わっていくつもりです。ボランティアセンターに所属すると、現場のまとめ役といった責任ある立場でボランティアに関われますので、また新しい体験ができるのではないかと楽しみにしています。

ボランティア未経験の学生の方にボランティアの魅力を伝えるとしたら、どのように話しますか?

 大学の中だと同じ授業を受けている人やサークル仲間との付き合いに限られがちですが、ボランティアをすることで色々な世代の人と関われます。SNSなどデジタルではなく直接対面で人と接することができる点も魅力ではないでしょうか。また、アルバイトとは違って強制力がなく、純粋に楽しみながら活動できるので、感覚としては学園祭のようなイベントに近いと思います。私自身は障害者スポーツのボランティアで「誰かの役に立っている」という満足感を得ることもできました。大学に入って運動する機会がめっきり減ったので、身体を動かす場としても障害者スポーツのボランティアを有効活用しています。

力武さんのように、学業とアルバイトを掛け持ちしながらボランティアをすることにハードルを感じている人も多いかもしれません。

 例えば、私が通っている大学のボランティアセンターでは授業の合間にできる軽作業のボランティアもあるので、まとめて時間を作れない学生の方は、そういうところから始めても良いと思います。少なくとも、色々な人と関わりたい気持ちがあれば、どんな形であれ参加してほしいですね。参加することで得られるものは大きいと思います。

【インタビューを終えて】

 小学6年生の頃、故郷の「子ども会議」に参加したのを機に地域活性化に興味を持ったという力武さんは、目下、将来の目標に向けて勉学に励んでいるとのこと。そんな中、色々な世代の考え方や価値観に触れられるボランティア活動は、地域活性化を考える上でとても役に立っていると語っていました。お話を通じて、根底にある「人が好き」「交流が好き」という熱い思いがひしひしと伝わってきました。そんな力武さんですので、将来はきっと、どんな人でも楽しめて、地域を盛り上げる魅力的なイベントを生み出してくれることと思います。