山本 信義さん
障害者スポーツボランティアにご興味のある方に向けて、実際の活動事例を交えながらその魅力をお伝えします。
今回お話を伺ったのは、ブラインドサッカー、知的障がい者サッカー、電動車椅子サッカーといったサッカー競技を中心に、精力的にボランティアを続けている山本 信義(やまもと のぶよし)さん。審判やコーチとしても活動されている山本さんに、ボランティアの魅力や仲間の作り方、情報収集の方法などを伺いました。
 障害者スポーツボランティアとは
障害者スポーツボランティアとは障害者スポーツボランティアにご興味のある方に向けて、実際の活動事例を交えながらその魅力をお伝えします。
今回お話を伺ったのは、ブラインドサッカー、知的障がい者サッカー、電動車椅子サッカーといったサッカー競技を中心に、精力的にボランティアを続けている山本 信義(やまもと のぶよし)さん。審判やコーチとしても活動されている山本さんに、ボランティアの魅力や仲間の作り方、情報収集の方法などを伺いました。
 
          2018年にウォーキングフットボールに関する講演会に参加したのがきっかけでした。私自身も若い頃からサッカーをたしなんでいたので、ウォーキングフットボールには強い関心がありました。その講演会で紹介されていたサークルに参加して月1回の頻度でプレーするようになりました。そこからボランティアの輪が広まっていった感じです。例えば、障がい者サッカー団体主催のクリスマスイベントにウォーキングフットボールのスタッフとして参加したり、サークル仲間の誘いでブラインドサッカーのイベントのお手伝いをしたりと、ボランティアとして障害者スポーツに関わる機会がどんどん増えていきました。
まったくありませんでした。ウォーキングフットボールは「歩いてプレーする」「ゴールの高さ(1.2m)を超える、高いボール禁止」「身体の接触禁止」といったルールの特性から障害のある人も参加できる競技なので、プレーをとおして障害のある人たちと直に触れ合うことができました。その後も東京2020パラリンピック競技大会関連イベントのお手伝いなど、交流の機会がさらに増えていきましたので、障害のある人たちに関する知識をより深めたいと思うようになり、初級パラスポーツ指導員の資格を取得しました。
はい。初級パラスポーツ指導員の資格取得後は、障害者スポーツのボランティア活動を続けながら中級パラスポーツ指導員の資格を取得しました。その他にも、ブラインドサッカーや電動車椅子サッカーの審判の資格、ブラインドサッカーや知的障がい者サッカーのコーチの資格も持っています。スタッフの一員として、コートの中の安全をしっかり守りたいという思いから様々な資格に興味を持つようになりました。補助員として、審判として、またはコーチとして、色々な視点から障害のある人たちが安全にプレーできる環境を作っていきたいですね。あと、ブラインドサッカー、知的障がい者サッカー、電動車椅子サッカーと、種目によって選手の障害特性がまったく異なるので、それぞれにきちんと対応できるようになりたいという気持ちもありました。
 
            障害のある人たちが、スポーツをとおして成長していく姿を見届けられるところですね。特に知的障害のある人たちは成長が顕著で、とてもやりがいを感じます。もちろん、一人ひとり個性が異なる分、教え方も通り一遍ではいかないという側面はあるのですが、それを差し引いても成長する姿を見たいと思っています。
例えば、知的障害のある人に対しては、言葉に加えて、身振り手振りもあわせて説明することで、視覚的にも分かりやすく伝える。電動車椅子の人だと重度の障害を抱えている場合も多いので、ちゃんと顔色を確認するようにする、といったところを意識しています。障害の種類によって気をつけるポイントは異なりますが、私が留意しているのは、「先回りして手助けをしない」ことです。障害のある人の中には「できることは自分でやりたい」と考えている方もいらっしゃいますので、こちらが勝手に手助けしてしまうと彼らの努力を無駄にすることになりかねません。ですから、本人からヘルプサインが出ているかどうかをしっかり見極めたうえで、お手伝いするかどうかを判断しています。
現在は定年退職後の再雇用で平日仕事をしていますので、ボランティアに参加するのはもっぱら土日になります。土日をフルに使うこともあれば、土曜日だけのパターンもあるなど、自分の体調と相談しながら無理のないペースで続けています。今は、「スフィーダ世田谷BFC(※1)」というブラインドサッカーチームのイベントをメインに、様々な活動に参加させてもらっています。
※1:「スフィーダ世田谷BFC」の体験談はこちら
TOKYO 障スポ&サポート(以下「S&S」)のメールマガジンから情報を得たり、ボランティア仲間から直接情報をもらったりしています。メールマガジンには、募集ページに直接遷移できるURLも記載されているので、興味のあるボランティアに申し込みやすく、とても重宝しています。
ちなみに、「スフィーダ世田谷BFC」の運営スタッフとしても活動しているのですが、イベントの際にS&S上でボランティアを募集したところ、反響が大きかったので、今後も活用していきたいと思っています。
一緒に活動した方の中には、活動後にSNSでつながる方もいます。その方たちと頻繁にやり取りするわけではないのですが、たまにあいさつ程度のメッセージを送ると、お返事と一緒にボランティアへのお誘いがくることがあるので、そういうときはなるべく参加するようにしています。自分一人ではあまり参加しないようなジャンルも体験できるので、楽しみが広がります。
ボランティアを積極的に楽しもうと思っている人、参加する前から楽しむ気が満々の能動的な人ですね。そういう人はどんな状況でどんな役割を振られても楽しめるでしょうし、その空気が選手や参加してくれた人にも伝わり、会場全体がいい雰囲気になるでしょう。これは私個人の考えですが、ボランティアにとって重要なのは献身性よりもこの「楽しもう」という気持ちではないでしょうか。ベテランの方ほどそういう傾向がありますね。「朝が早くて大変」とぼやきながらも結構楽しそうにしています(笑)。
「障害や障害者スポーツのことをよく知らないのに大丈夫?」といった心配から参加をためらっている人も多いと思いますが、あまり深く考えずに参加してほしいです。何はともあれ現場に行かないことには障害への理解は深まりませんし、ボール拾いや会場設営の手伝いなど、障害者スポーツのルールを知らなくてもやれることはたくさんあります。競技のルールは参加を繰り返しているうちに分かってくると思いますので、そうなったら障害のある人たちと一緒にプレーしてもいいでしょう。それはそれでとても楽しい体験になると思います。その楽しさを感じるためにも、ぜひ第一歩を踏み出してください。
補助員、審判、コーチと、様々な立場でボランティアを行っている山本さんならではの、広い視野でお話しされている姿がとても印象的でした。また、いずれは「障害≒生涯」という認識になり、現在障害者スポーツと呼ばれている競技は、小さいお子様から高齢者まで楽しめるスポーツとして広く受け入れられていくとお考えであり、そのためにも障害者スポーツの関係人口をどんどん増やして盛り上げていきたいとのことです。
11月に開催される東京2025デフリンピックでは、Jヴィレッジ(福島県)でサッカー競技のボランティアとして活動されるそうです。本インタビューを読まれた方に向けて「お会いできるのを楽しみにしております」ともおっしゃっていましたので、もしどこかの会場でお見掛けしたら、ぜひ気軽に声をかけていただきたいと思います。
